高麗人参は元来「人参」と呼ばれ、韓国、中国および日本などの東洋諸国で古くから補血強壮剤として利用されてきた薬草です。万病を治療するという意味から学名を 「Panax ginseng C.A. Meyer」*という、ウコギ科の多年生植物です。
枝分かれした根の形が人の姿を思わせることが、その名称の由来と言われています。
高麗人参が初めて日本にもたらされたのは、739年(天平11年)のこと。
江戸時代には日本での栽培を目的に種子が持ち込まれ、八代将軍徳川吉宗の時代に日光で人工栽培に成功。各地の大名に「御種」を分け与えたことから「御種人蔘(オタネニンジン)」と呼ばれるようになりました。
※野菜のニンジンはセリ科であり、本種の近類種ではありません。
高麗人参が人々の治療に用いられた歴史は4~5000年にも及ぶと見られ、朝鮮半島はもちろん、中国医学においても重要なものとされていました。また、自生地から採取できる地域は広いアジアのなかでも一部に限られていたため、古くから貴重な品物であったようです。
14世紀に入りヨーロッパでは地中海の外に目を向けるようになり、アジアの特産物を求める大航海時代の幕が開けました。多くの宣教師や商人が東アジアの国々にやってきた際、いくつかの書簡には人参について綴られた記録が残されています。
18世紀には、北アメリカ産の人参が発見され取引されるようになりましたが、高麗人参に比べ薬効成分などが及ばない事から安値で取引されたようでした。
「本場の韓国産が高級」とされる傾向は今でも変わっておらず、名産地として知られています。